2012年12月10日

長距離偵察で思う。

名護の東側まで行ってきた。

長距離偵察で思う。


目的は、ドライで今年中にオオクチユゴイをGETすること。

結果からいうと、釣果ゼロ。
しかし、得られたことも多かった。

たとえば、寒くなるこの時期ユゴイ類は海へ下るといわれているんだけど、たしかにユゴイの姿は殆ど見えなかった。
しかし、不思議と群れがいる河川もあった。この河川の上には、新しいトンネルがあり、たしか工事の影響で湧き出る湧水に、有害物質でもある砒素が基準値以上含まれているとのことで問題になった場所だと思う。
砒素云々というよりも、短い河川であり、湧水により安定した水温があるため、ユゴイがとどまっているのではないかと予測した。
そういえば、「ワラビー」にユゴイの語源が温泉地に見られた「湯鯉」からきていると解説されていたので、もしかしたら温泉があるかも(笑)なんて思ったりした。

JPが駄目となると、アフリカからやってきたテラピアをニンフ(水生昆虫)タイプのフライで狙ってウサ晴らしとなるわけなんだけど、低水温のためかガッツリ食うということはなかった。しかし、このアフリカンな魚もまた、寒くなった沖縄では住むところも、挙動も違っていた。

テラピアは海にもいることがあり、雨で塩分濃度が下がったさい、海を渡って川から川を移動するらしい。
どこにでも放したわけでもないのに、ありとあらゆるところにいる。ちょっとした堰も上っているようだ。

帰りに立ち寄った安慶田川ではナーバスになっていて全く無反応だったけど、羽地川では小さいヤツまでもしきりに反応していた。
水温の関係もあるかもしれないけど、雑食な分、食ってるものの影響により、相当反応が違う魚でもある。

今回発見したのは、どんな汚い川にも住み、何でも食べるテラピアが多い河川と、少ない河川についてわかったことだった。
全く居ないわけじゃないけど、酸性土壌の国頭マージ地帯である山原の河川には、この時期特にテラピアが少ない印象だった。

熱帯魚は専門外なんできちんと調べてみないといけないけど、シクリッド科(カワスズメ科で、世界に1200種類くらいいるとされる)のうち、アフリカ産はアルカリ性を好む傾向がある、と記憶している。中南部の土質が主にアルカリ土質であり、テラピアが多かった羽地川のダムにも、アルカリ性を示すと考えられる石灰岩の露出が見られたので、これが影響しているような気がした。

調べる時間がないので、興味ある方は誰か調べてみて(笑)


さて、最後に気になった看板を見つけたので書いてみる。

長距離偵察で思う。


大浦湾に注ぐ大浦川は自分が好きなポイントの一つだった。今回、その上流を目指してみたんだけど、上流の大川地区に「魚類の捕獲を禁ずる」という看板があった。釣り人がトラブルを起こしたのかもしれない、と思った。

その原因と思われる看板が、下流の大浦地区にあった。
「鯉、放流につき、捕獲を禁ずる」

長距離偵察で思う。


そばには、「やんばるの自然を大切にしましょう」とある。

???


どの本で読んだか忘れたけど、沖縄にはタイワンキンギョ(トーイユ)やコイは元々生息していなかったのではないかという説が書かれていた。タイワンキンギョは闘魚として知られるけど、当て字は「唐魚」だったと思う。つまり、現在の中国から輸入された魚ということだ。
あまり語られることはないけど、沖縄は台風や渇水(ダムや海水淡水化施設ができる以前は、断水もよくあった)により、厳しい生活を強いられていた。そんな中、沖縄にはターイユ(鮒)を薬用を中心に食べる習慣はあっても、鯉こくなどのコイ料理の話をきかないので、この説は概ね正しいのではないかとも思う。
実際に、久米島にはコイはいなかったけど、放流されているという久米島ホタル館館長の話も耳にした。

鯉はある程度汚水にも強いので、リュウキュウアユのように水質悪化で絶滅したとも考えにくい。
恐らく、景観上の理由から放流されたものではないかと思う。


実は鯉という魚は、海外では深刻な外来魚になっていて、本土でも放流禁止となったというお話をフェイスブック経由できくことができた。
もし、元々生息していたものでも、遺伝子レベルで攪乱することになるし、ニシキゴイであればなおさらのことだと思う。


魚の姿が見えないから、自然が豊かではないというのは誤りであると思う。
魚は一般的に保護色であり、自衛のために、人を含む他の動物から見えないよう行動する。
実際に釣りをしてみると、様々な魚が釣れる。

「やんばるの自然を大切にしましょう」
そのまま、その言葉を返してやりたいと思った。
そういえば、同じく東海岸の有銘川でも同様の放流がされているようだ。



最後に書いてみたいことなのだけど、釣りは生態系を育む釣り場があってこそ成り立つものであり、釣りそのものも、一つの環境問題に関わっていると思っている。釣り人が捨てるゴミも、どうしようもない根掛も、立派な環境問題だ。
自分も釣れないときはテラピアに逃げてしまうが、テラピアも立派な外来魚であり、沖縄が抱える環境問題のひとつ。


大浦湾は基地から派生する環境問題で揺れているのはよく知られている。
こううした問題ばかりがクローズアップされるが、より身近な環境についてはどうなのか・・・そんな事を思った。



現在、タイフーンfmのラジオ番組「フィッシャーズゲート」の企画及びコメンテーターとして参加させていただいている。
番組では、釣り情報を発信すること以上に、釣り人の安全やマナーUP啓発活動に力を入れている。

釣具店も釣り関連メディアも、お客さんとの関係上あまりゴタゴタと言いたくないだろうし、だからと言って放置して良いものではないと思っているので、親戚の兄ちゃんの「ラジオ番組の企画ないね?」の話からオンエアに至っている。

経営もまだ軌道にのってない中、自腹切っての配信は辛いけど、釣りに関する安全とマナー啓発、そして釣り場の環境活動は誰かがやらないといけないと思ってるので、金銭的にきついけど続けている。

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Posted by モソの中の人 at 11:15 │川あっちゃー
この記事へのコメント
鯉の放流!!真意が知りたいですね!!

鯉は、汚れた水質に強い!!というか、鯉が水質を悪化させる可能性がある!!ということを知っているのでしょうか!?

コイは雑食性で、在来の水草やタニシのような貝や水質浄化に役立っている底性生物、在来魚の幼魚などをあっと言う間に食べつくしてしまう可能性が高いのに、そんな鯉を川に放したら、川を浄化する生物は瞬く間に捕食され水が汚れ、ヘドロの溜まった死の川になってしまうかもしれません!!

すぐにでも辞めさせるべきだと思います。
Posted by Bトラ at 2012年12月10日 12:15
Bトラさん
恐らく見て楽しめるってことだとは思うのですが・・・。

コイの問題と似たような現象が、久米島のブルーギルの件で現れてますからね。
法律は難しいと思いますが、県条例でこういう放流の規制作ってくれないかなと思ったりします。
Posted by sacomsacom at 2012年12月10日 17:38