2017年07月03日

「釣り禁止明示」は解除できるのか?

安田漁港が釣り禁止となったんだけど、今後釣り禁止と明示された場所を解除することは可能なのか。

啓発用漫画を描きながら考えてみた。

「釣り禁止明示」は解除できるのか?


「釣り禁止」と「立ち入り禁止」を分けて考えよう


釣り仲間の間では「すぐにできるアクションとして、清掃活動を行いたい」とある。
ただ、個人的にはちょっと待ったと言いたい。
悪いことではないのだけど。


まず考えないといけないのは、なぜ釣り禁止と明示されるに至ったのか。
それを考えないといけない。

漁協関係者のフェイスブックのスクショによると

・なんと言ってもゴミ問題
・トイレを汚される
・航路への仕掛けの投入によるトラブル


ということであり、ゴミ問題だけではないことがわかる。
やはり総合的に見て、釣り人の間で啓発を行わないといけないかなと思う。

船に乗ってる人ならペラにラインが巻き込むのはかなり問題であり、ギアボックスを痛めることになる。
まさかいないと思うけど「釣り人から離れて航行すればいいだろ!」と言う釣り人がいるならば、「港則法」をググって勉強すること。海にも交通ルールがありますんで。


それと漫画に図化するうえで「釣り禁止」「立ち入り禁止」を分けて考える必要があると思った。

・釣り禁止は文字通り釣りが禁止されている

・立ち入り禁止は何らかの理由で立ち入りが禁止されている。危険場所、防衛施設、SOLAS条約(テロ対策)など理由はいろいろ。


漁港によって違うが、安田漁港はゲートに「釣り禁止」が明示されているので、漁港内においては釣り行為ができない。

ただ、公共施設であるので関係者以外立ち入り禁止が明示されていなければ、基本的に不特定多数の人がある程度立ち入りすることを想定している、と解釈している。

海はみんなのものなので誰にでも利用する権利はあるけれど、漁港の目的や管理権が優先されるというわけで、これまでも”親水の観点から黙認”されているということもそういう事情かなと。釣り禁止と明示されたことで、黙認されなくなった。


「柵があるから勝手に出入りできない」「人の家の敷地に勝手に入れないのと同じ」と考える人もいるかもしれないけど、根本的に個人の財産や生活圏である住宅と、夜間以外ゲートがオープンになっている公共施設である漁港は別物だと思う。

公共施設でも防衛施設とか国際港(SOLAS条約でテロ対策がなされている)などのようにちゃんとゲートでチェックされて用事がない人は入れないところもある。


ただし管理者権限で「関係者以外立ち入り禁止」と明示することは可能で、この文言にはそれなりの効力があり、無視して入れば不法侵入となってしまう。

このように「立ち入り禁止」と「釣り禁止」は違うということを念頭に話を進めたい。



安全性を考えて清掃はどうか

良いアイディアである掃除活動についてちょっと待った。と思ったのは、安田漁港の釣り禁止の経緯を調べているところからだった。
そもそも立ち入りOKなのか調べる必要があるなと。

少なくともこのサイトによると、外海側の大きな堤防は2010年には「立ち入り禁止」になっていて、釣りはおろか入ることさえ禁止されている。

http://isinkatindoronbou.ti-da.net/e2767189.html


トンブロックが設置されて入れないようになっている徹底ぶり。
理由は「高波などたいへん危険なため」としており、つまり「安全対策」となっている。

釣り人がこうした事情を無視し「これからきちんと清掃しますので釣りさせてください」と主張したところで、管理者サイドと話がかみ合うはずもないのでは・・・などと思ったので、ちょっと考えてみようぜという案を提示させてもらったわけですよ。


釣り人同士での会話でも、まずは安全管理が必要でライフジャケット着用が必要では?という話をすると、できるだけこの話は避けたい雰囲気が漂うときもあったりする。何なんだろうこの流れ。
ようするにめんどくさいしかっこ悪いからライジャケは着たくないと。

工事現場の人はひらけた所でもヘルメット着用してるし、サバゲーも目を保護するためにゴーグルをかける。
何人も命を落とす釣りという遊びの安全をもっと真剣に考えないといけないのではないか・・・だからこそ立ち入り禁止の場所が増えているのでは・・・これでは釣り人が「立ち入り禁止」の原因を作ってるようなもの。


掃除することが無駄ということではなくて、管理者側が何を問題としているのかを掃きえると「違う、違う、そうじゃない」ってならないか、ということなんですね。だからゴミ問題を解決するために掃除すればOKってことじゃなくて、問題点をピックアップしてできるだけ一気に解決しないと厳しいと思うのですよ。

私はちょっとした気遣いができて、ライフジャケット着用を徹底するだけでわりと簡単に解決できることだと思うんです。
ライフジャケットは安いものなら2千円くらいで購入できますし。できれば国交省認定のほうがいいですけど。


管理者の確認をとったうえで立ち入りさせてもらい清掃していくとかなら、全然OKでしょうし、管理者サイドもウェルカムかもしれませんし。
それでOKなら、おおいにやったほうがいい。
もちろんライフジャケット着用でね。安全第一。


信頼関係の構築

最期に、うちがよく通っていた港での話を。
今はあんま通わなくなったのでどうなったかわからないけど。

当時アシチン(ロドクイ)がよく釣れていて、堤防には多くの釣り客が並んでいた。
堤防はコマセだらけで、船員さん達から「近々釣り禁止になる」と伝えられていた。

これはまずいと思い、自分でもゴミを拾いながらも、常連のおじさん達に協力願いを出した。
このままだと釣りができなくなる。みんなで注意しようと。

毎日座ってるじいちゃん達が啓発をしてくれたので、護岸はかなり綺麗な状態が維持された。
もちろん汚いときもあり、釣り人が気づいたら掃除していた。もちろん見逃してしまいフェリーの人が掃除したこともあるはず。
そこで釣り禁止が明示されることもなかった。

むしろ船員さんも人も釣り好きが多いらしくて、釣果を楽しみにしているようでもあった。
警備のおじさんは駐車に関しては注意していたけど、世間話したり最近何が釣れてたという情報交換する間柄にもなっていた。
今はどうかわからないけど。


釣果自慢と道具自慢、釣り人だけで盛り上がっているようではダメで、信頼関係が大事だと思う。
それは何か問題があってから駆けつけるのではなくて、日ごろからやらないといけない。
信頼が崩れたから締め出しを食らう場所が増えているんだと思う。

漁業者や管理者の信頼を勝ち取ることができれば、黙認という状況には変わりはないけど親水はさせてくれる時が来るかもしれない。
あくまでも「かもしれない」の話だけど。



啓発用漫画はネームが完成しましたので、いずれにせよ早いうちに描こうと思います。


カリキュラムや教育、調整機関が必要では


個人的に思うのは、すごく大掛かりになりますが釣りに関する教育機関のようなものが必要で、そのための調整やカリキュラムを組み立てることが必要になるのではないかと思います。
現在執筆中の「ラッキーキャッツルアーフィッシングスクール」は釣り人への安全やマナー啓発もかねていて、釣り場の保全とかその手の話も描いてますので興味ある方はぜひ読んでやってください。宣伝でした。


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Posted by モソの中の人 at 12:53 │海歩っちゃー